タトゥーデザインとその意味について
ご説明します。

古代中国で、鳳凰、麒麟、霊亀とともに動物達の長である四霊のひとつとされた龍。
干支の中で唯一架空の生き物で、干支における龍は、正義感と信用の象徴であり、中国では昔から権力の象徴として言い伝えられてきました。 龍は9つの生き物の集合体と言われ、その姿は「九似」と呼ばれ、鹿の角、ラクダの頭、鬼(またはウサギ)の眼、牛の耳、鷹の爪、虎の掌、蛇の胴体、蜃(蜃気楼を作りだすとされる伝説の巨大ハマグリ)の腹、鯉の鱗を持つとされています。 また、爪の本数にも諸説あって、五本の爪を持つ龍の図柄は皇帝のみに許された特権として規定されていました。

鳳凰

美しく優雅に飛ぶ姿で日本・海外を問わず人気を集めるのが鳳凰です。
中国の神話に登場する伝説上の鳥で、その姿を見せるのは聖徳の天子が現れる兆しと伝えられ、縁起のよいものとされています。また、鳳凰は神を送る役目をしていたと言われ、良い方向に人生を運ぶともされます。 タトゥーに限らず、美術品や建築物にその意匠が使われることも多くあります。

般若

嫉妬心に狂って鬼のようになった女性の悲しみ、怒り、恨みを表現した姿とされる般若の面。
タトゥーではこの般若の面のことを般若と呼んでいます。 「源氏物語」の逸話で、葵の上が六条御息所の嫉妬心による生霊に悩まされ、般若経を読んで御修法(みずほう)を行って撃退したことから、般若の面が嫉妬に狂った女の表情を表すものとなったという説があります。 般若は、ジャパニーズスタイルのタトゥーのモチーフとして世界的に人気があります。

蛇は古くから世界各地で信仰の対象とされてきました。
日本では神や再生の象徴などとして信仰され、干支における巳(へび)は、情熱と探究心の象徴でもあります。 また、古代エジプト文明では、蛇が自分の尾をくわえて輪になった形を、始まりも終わりもない完全なものの象徴としていました。 インドではナーガと言われる蛇神が生命力の象徴とされていて、交尾を通して発生するエネルギーが生命を創り出すとも伝えられ信仰されています。 細長くしなやかなボディーはデザインにも取り入れやすいので、広くタトゥーモチーフとして使われ人気があるのです。

竜王太郎

竜王太郎は「龍王太郎英雄譚(りゅうおうたろう えいゆうものがたり)」という式亭小三馬の書いた物語の主人公です。
和田津三郎と竜の化身である美女・桂の間に生まれた竜王太郎が、鏡を持って両親の敵討ちをする場面が有名で、よく和彫りに使われます。 この物語は両親の仇討ちをする物語ということで、親子や親分子分の絆を連想させるものとして、モチーフに好まれて使用されいるのです。

羽衣天女

日本各地に存在する羽衣伝説。
ある男が水浴びしている天女の美しさに羽衣を隠してしまい、天に帰ることができなくなった天女が仕方なくその男と結婚。しかしその後、羽衣を見つけた天女は男をおいて天に帰ってしまったというような話です。 天女は天帝に仕える美しい女性のことで羽衣をまとって空を飛ぶ姿で描かれます。 人間の世界では、美しく優しい女性にたとえられます。

夫婦鯉

強い生命力を持つ魚として知られている鯉。中国では年月を経た鯉は、やがては龍に化生すると言われてきました。
夫婦鯉には、夫婦の絆、家庭円満、家内安全といった意味や、年少者の立身出世健康を願う意味があります。 二匹の鯉がともに滝を登る姿で描かれることが多く、お互い助け合って生きていく姿をよく表していることから、好んで彫られることの多いタトゥーモチーフとなっています。

唐獅子

威厳と勇猛さを兼ね備えた霊獣の代表的存在である唐獅子。
実在の獅子を美術的に装飾化・図案化したもので、日本では桃山時代ごろから、神社仏閣などで除魔の役割で良く描かれてきました。 唐獅子は百獣の王と呼ばれ向かうところ敵無しですが、ただひとつ恐れるのが自身の体毛の中で増殖して皮膚を突き破り肉を食らう害虫です。この害虫は牡丹の花の夜露にあたると死ぬため、獅子は牡丹の下で眠ります。 この言い伝えから、唐獅子と牡丹は「唐獅子牡丹」と呼ばれ、セットで描かれることの多いモチーフです。

勇ましいイメージの通り、強さの象徴とされる虎。
強大な力量を持ち、優劣をつけがたい二人の英雄や豪傑のライバル関係を示す「竜虎」と言う言葉に表される通り、竜と対比されることが多くあり、虎には”肉体的、物質的”な強さをよく表すものとされています。 虎にとって竹林は安息の地であることから、虎と竹を組み合わせてデザインすることが好まれます。 黄色と黒の虎柄と竹の緑のカラーコントラストが目を引くため、ジャパニーズスタイルからアメリカントラディショナルまで、 広く人気が高く用いられるタトゥーモチーフと言えます。

不動明王

不動明王は五大明王の中心となる明王。厄難除災と煩悩を断ち切るとされています。
密教における大日如来の化身であり、如来の教えに背く者たちを恐ろしい忿怒の形相で調伏し、同時に背後に燃えさかる大火焔でその煩悩を焼きつくすと言われます。 不動明王の不動とは「いかなる時も心、動じず」という意味合いで、どんな人間の心の中にも存在する「楽な方に流されてしまう心を戒める」という大きな意味を持っていると言われます。 日本伝統刺青では、不動明王単独か、龍にまたがったもの、両脇に矜羯羅と制多迦の二童子を配したものや、不動明王が龍に変化して剣を押さえつけた姿の「具利迦羅龍」というのもよく彫られています。

鬼若丸

鬼若丸とは、武蔵坊弁慶の幼名のことです。
鬼若丸は母の胎内に18ヶ月もいたとされ、産まれた時にはすでに髪が肩まで伸び、歯が生え揃い2、3歳に見えたといいます。 まるで鬼のようだということで「鬼若」と名付けられました。 比叡山延暦寺近くの池に巨大な暴れ鯉がおり、女子供を食い殺して人々を困らせていました。それを聞いた鬼若丸は短刀一つ携え単身で池に飛び込み、見事鯉を退治したそうです。その場面を描いたのが「鬼若丸の鯉退治」であり、日本刺青でよく描かれる場面です。

牡丹

見事な大輪の花を咲かせることから、「百花の王」「花中の王」と呼ばれる牡丹。
大きな花が富と名誉と繁栄の象徴するにふさわしいとして人々に愛されるようになったそうです。 日本には奈良時代に伝えられ、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と、女性の美しさを形容する花となりました。 薄い花びらが幾重にも重なっていることから豊穣のしるしとされます。また、財運、明るい未来といった意味もあります。

麒麟

鳳凰、応龍、霊亀とともに、世の中の動物たちの長”四霊”の神聖な生き物である麒麟は伝統的なタトゥーモチーフです。
牛の尾、馬の蹄、顔は龍、体には鱗があり、背毛は五色に彩られているとされます。 性格は非常に穏やかで優しく、生き物を食わず足元の植物や虫を踏むことさえ恐れるほど、殺生を嫌います。 角も肉に覆われていて、他を傷つけることがないようになっています。そのため、仁愛や幸運の象徴とされています。 たいへん縁起の良い動物とされているので、タトゥーのモチーフとしても人気があるのです。

金魚

金魚は中国語の発音では「金余(金が余る)」と似ているため、富の象徴として愛されています。
風水でも、金魚鉢を部屋に置くと金運がアップすると言われています。また、風水では「黒は邪気を払い、赤は幸運を呼ぶ色」とされており、黒と赤の金魚を2匹描くことも縁起が良いとされています。 また、金魚は食用ではなく美味しくないと言われていることから、「煮ても焼いても食えぬ奴」といった意味合いを持って彫られることもあるようです。

梟(ふくろう)は「森の哲学者」や「森の物知り博士」といった愛称で呼ばれ、頭の良い鳥として知られています。
ギリシャ神話では知恵の神の使いとして、アメリカンインディアンは不吉を予知する鳥として、エジプト文明では梟が死者の世界とコンタクトを取れると信じられていたため、死からの守り神として信仰されてきました。 日本でも、梟を「不苦労」「福朗」などと当て字で書き、苦労を避けて福を呼び寄せる縁起の良い鳥として親しまれています。

メキシカンスカル

メキシカンスカルは、メキシコで11月1日の「死者の日(The Day of the Dead)」という祝祭の行事に飾られるものです。
ラテン語圏では、「人はやがて死ぬのだから今を精一杯楽しめ」という考え方の「メメント・モリ(Memento Mori)」という言葉があります。 死者の日には、死者を迎え入れるために花などでカラフルに飾ったメキシカンスカルを家やお墓に飾るのです。 明るく華やかなメキシカンスカルは女性にも人気のタトゥーモチーフです。

イーグル

鳥の王者と言われるイーグル。
アメリカでは白頭ワシが国章として用いられ、愛国心や誇りを象徴するモチーフとして、アメリカ人兵士達が好んで彫っています。 インディアンにとってイーグルはとても神聖な動物であり、その羽を拾った者は天から幸運の印を受け取ると言われています。 日本では家紋や武具装飾などに使われ、特に武家に好まれました。 権威、名誉、高潔、気高さ、上昇といった意味でタトゥーモチーフとしてよく使われています。

パンサー

柔軟でしなやかな体を持ち、忍者のように素早く力強い戦いの戦士・パンサー。
タトゥーの世界では、パンサーというと一般的にブラックパンサー(黒豹)を指す事が多いです。 強さ、統率、勇敢さを表す象徴として、特に男性から人気のあるタトゥーモチーフです。トラディショナルスタイルではパンサーは定番のデザインです。 古代ローマでは、パンサーの発する甘い香りの息に人々や動物が引き寄せられたという言い伝えから、キリストの下へ導く伝承者のシンボルともされていたそうです。

薔薇

ギリシャの愛の女神アフロディーテがよく体に飾った花、薔薇。愛や美、情熱といったものを表す花です。
薔薇は花の色によって花言葉が違うため、タトゥーを入れる際には花言葉を参考に色やデザインを決めることが多くあります。
■赤い薔薇・・・情熱的な愛や真実の愛など
■ピンクの薔薇・・・優雅さや癒し、温かい心など
■黄色の薔薇・・・幸福、平和、友情、嫉妬など
■オレンジの薔薇・・・人生における熱意や魅惑、無邪気、信頼など
■紫の薔薇・・・一目惚れ、魅力、気品など
■青い薔薇・・・奇跡、幻想、神の祝福など

蝶々

蝶々はさなぎの時期を経て、蝶へと美しく変身して飛び立つことから、復活の象徴とされています。
また、新しい世界へ羽ばたくというイメージから、自由な精神や生命といった意味を込めることが多くあります。 デザインや色などにバリエーションがあり、トライバルやブラック&グレーなどスタイルも問わないため、タトゥーのモチーフとして世界的に男女問わず人気があります。